発達障害のあるお子さん、当事者さんたちへのコロナの影響

発達障害のあるお子さん、当事者さんたちへのコロナの影響
~親の会・サークルへのアンケートから~

  新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う自粛要請や緊急事態宣言も、5月からは徐々に解除されるようになりました。その間、学校や通所の福祉事業所が休校(休業)になったり、職場が休業要請で休みになったりしたことで、お子さんたちは「家で過ごさないといけない」という状態を強いられました。この数か月間、発達障害のあるお子さんたちと当事者、家族は、目まぐるしい環境の変化に襲われたことでしょう。
  

  今回、当センターでは、ペアレントメンターの在籍する親の会・サークルを中心に「新型コロナウイルス感染拡大の影響」についてのアンケート調査を実施しました。
 その結果、対象とした親の会・サークルのほとんどが、定例の会合やサロン等のイベントの中止または延期、活動計画も立てられない状態となっていることがわかりました。宣言解除後の密を避けた形での活動再開については、当センターとしても色々な形でサポートしていきたいと考えています。

(参考)
学校や福祉事業所、職場が休みとなった影響として寄せられた声
・ゲームをする時間が増えて生活のリズムが乱れがちになっている。
・出かけることが少なくなり、体重が増えた。
・自宅学習は親が付きっきりになってしまい負担が大きい。
・自宅で親と子が長時間過ごすことに限界を感じている。
・(感覚過敏で)マスクができないことが理由で、福祉事業所からうちの子だけが自宅待機を強いられている。
・公共交通機関が使えなくなって、親の送迎が必要になった。


  アンケートに書かれた声を通じて、何より「先の見通しがつかないことへの不安や苛立ち」で親子共々精神的不安定になっている様子がうかがえました。また、テレビ等で繰り返される新型コロナウイルスのニュースを繰り返し見ることで、不安が高まり、怖くて外に出ることができないでいると言った声も寄せられています。その一方、成人の当事者さんの場合は、「なるべく新型コロナ関連のニュースは見ないようにして対処している」という人もいれば、「Stay home」をゲーム、映画、配信LIVE、作品作り等々で楽しんで過ごしている人もいるようでした。

  今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって、発達障害のある人たちやその家族を地域で支える機能(学校、福祉事業所、職場等)がある日突然無くなり、お子さんや当事者さんの支援を家庭だけで抱えざるを得ない状況となってしまいました。それによって、当事者さんやご家族はストレスフルの状態に置かれたことでしょう。今後の規制緩和に伴い、「新しい生活様式の中での支援体制の再構築」を模索し始めることになりますが、以前と同じようにはいかないことが色々と生じてくることが推測されます。

  当センターの主催事業とて例外ではありません。「普及啓発」の場として位置付けている「家族サロン」や「支援講座」の開催についても、例年通りと言うわけにはいきません。現在開催に向けた準備を進めていますが、三密を避けるために定員を限定したり、会場もいつもと違う風通しの良い広い部屋を使ったり等の工夫をしながら開催する予定としています。

  「ピンチの後には必ずチャンスがある」と言われています。当センターも新たなチャレンジをしつつ、地域の当事者・家族、支援機関の皆さんを支えることのできる存在となれる様に努めていこうと思っています。

  今後ともよろしくお願いいたします。


2020年06月29日